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リークがある場合の消費電力

在宅用人工呼吸器とマスクを使うと
消費電力はどれくらい?


災害対策の非常電源選定において、稼働時の消費電力を測定しました。
測定時に想定していた条件は気管切開、パッシブ回路でした。

追加実験としてリークポート付きフェイスマスク装着時の消費電力を測定しました。
状態としては流量が増加したことになります。
実験結果は災害対策に反映済みです。

 

実験条件

今回の測定対象機器は以下です。


Trilogy 100plus

Trilogy Evo

Vivo45

Vivo60

VOCSN-VC

 

マスクのフィッティングを再現するため、マネキンヘッドの口部に穴を空けてカテーテルマウントを挿入し、テスト肺を接続できるようにしました。
穴の周りは漏れがないようコーキングしてあります。

 

このマネキンヘッドにマスクを装着し、各機種で1時間の測定を行いました。

 

使用機器、各種設定は以下です。

測定器 KYORITSU KEW5010
KYORITSU KEW8146
測定時間 各機種1時間
測定方式 真の実効値演算 1分間の平均値
サンプリング間隔 1.65ms
使用呼吸器回路 成人用ISディスポ回路HWあり
1Lテスト肺
リークポート付きフェイスマスク Sサイズ
呼吸器設定 モード P A/C
PIP 20cmH20
PEEP 5cmH20
換気回数 15回/分
吸気時間 1.0s
ライズタイム 各機種最小

 

実験1 マスク使用の消費電力比較

マスクのリークポートからの流出のみの状態にするために、マスクフィッティング後にパテにて漏れがないように埋めました。

 

各機器の結果は以下です。

機種名 定格電力量 表示
リーク量
マスク使用時
実測消費電力量

Trilogy 100plus
170W 15L/min 31W

TrilogyEvo
210W 17.4L/min 18W

VIVO45LS
150W 14.6L/min 20W

VIVO60
300W 15L/min 34W

VOCSN VC
240W 20L/min 27W

 

実験2 マスク使用時、リーク量の大小での消費電力比較

マスクのリークの大小による影響を調べるために、マスクとマネキンヘッドの間に直径約5mmの棒を挿入しリークを生じさせました。

 

各機器のリーク量と結果は以下です。

機種名 定格電力量 リーク小
(表示リーク量)
リーク大
(表示リーク量)

Trilogy 100plus
170W 31W
(15L/min)
30W
(47L/min)

TrilogyEvo
210W 18W
(17.4L/min)
19W
(41.2L/min)

VIVO45LS
150W 20W
(14.6L/min)
21W
(33.9L/min)

VIVO60
300W 34W
(15L/min)
32W
(33L/min)

VOCSN VC
240W 27W
(20L/min)
28W
(43L/min)

 

実験3 流量の変化に伴う加温加湿器の消費電量比較

リーク量の増加に比例して、時間当たりに呼吸器回路を通過する気体の量も増加することになります。
これによる加温加湿器の消費電力への影響を調べました。
対象機器はMR810でLv1、Lv2、Lv3です。
それぞれのLvで15分加温後、60分の計測を行いました。

使用人工呼吸器:Trilogy 100plus
室温:29℃

 

各レベルの消費電力の結果は以下です。

Lv リーク小
(表示リーク量)
リーク大
(表示リーク量)
MR810
Lv1
30W
(16L/min)
51W
(40L/min)
MR810
Lv2
52W
(15L/min)
58W
(40L/min)
MR810
Lv3
55W
(14L/min)
95W
(39L/min)

 

まとめ

以前の事件でのテスト肺直結(気管切開想定)の実測消費電力は以下の通りでした。

機種名 定格電力量 実測消費電力量
Trilogy 170W 15W
TrilogyEvo 210W 18W
PB560 125W 20W
VIVO60 300W 27W
VIVO45LS 150W 20W
ASTRAL 120W 24W

同機種が揃っているわけではありませんが、リーク量15L/minによる消費電力は1~15Wの増加です。

 

実験2から、15L/min→40L/min程度のリーク量の増加では消費電力は大きくは変化しないようです。

 

実験3から、マスク使用時はリークにより呼吸器回路内の気体流量が増加するため、加温加湿器での消費電力が増加することになります。今回は夏場(7月)の室温29℃での測定であったため、冬場の消費電力はより大きくなることが予想されます。

 

今後も各種条件による情報を集めていきたいと思います。