ポータブル電源での
人工呼吸器稼働時間
人工呼吸器稼働時間
ポータブル電源で人工呼吸器はどれくらい動く?
昨今ポータブル電源(蓄電池)の価格が下がり、入手しやすくなりました。
在宅用人工呼吸器の外出時や停電時用の電源として使用することが出来るでしょうか?
ポータブル電源の出力波形と実際に人工呼吸器を接続しての給電可能時間を検証しました。
※過去の実験をまとめたものです。
実験条件
ポータブル電源にて在宅用人工呼吸器を稼働することを想定して、以下の実験を行いました。
- オシロスコープを用いて、ポータブル電源の出力波形の観察
- 実際に各在宅用人工呼吸器を接続し、稼働時間の測定
対象機種は以下です。
ポータブル電源 カタログスペック
機種名 | バッテリー容量 | 定格出力 | 最大出力 |
---|---|---|---|
HONDA E500 JN1 |
377Wh | 300W | 500W |
iClever ポータブル電源 |
500Wh | 500W | 1000W |
JVC BN-RB6-C |
626Wh | 500W | 1000W |
MPS200PS-JP |
250Wh | 200W | 500W |
Smart Tap PowerArQ2 |
500Wh | 300W | 450W |
EcoFlow DELTA 2 |
1024Wh | 1500W | 1900W |
EcoFlow DELTA 2 エクストラバッテリー |
1024Wh + 1024Wh | 1500W | 1900W |
在宅用人工呼吸器・加温加湿器
ASTRAL150
PB560
TrilogyO2
TrilogyEvo
Vivo60
Vivo45LS
MR810
使用機器、各種設定は以下です。
オシロスコープ | RIGOL DS1054Z |
---|---|
室温 | 23~25℃ |
呼吸器回路 | 成人用熱線なし回路 1Lテスト肺 |
呼吸器設定 | モードPCV 吸気圧15.0cmH2O PEEP5cmH2O 呼吸回数20回 吸気時間1.0秒 |
加温加湿器設定 | Lv2(中) |
測定時の換気量 | 約4L/min |
実験1 ポータブル電源の出力波形
オシロスコープを用いて、次の項目の実験をポータブル電源の充電時及びバッテリー使用時で行いました。
- 実験場所の商用交流100V60Hzの電圧波形を測定
- ポータブル電源の波形、周波数、実効値電圧を測定
- ポータブル電源の出力波形が商用交流に近しい波形であるか確認
結果は以下です。
実験2 人工呼吸のポータブル電源を用いた稼働時間
各種蓄電池に人工呼吸器、加温加湿器を接続し、運転した際の電源供給時間を測定しました。
結果は以下です。
ポータブル電源 機種名 |
電気容量 | 人工呼吸器 + MR810 電源供給時間 | |
---|---|---|---|
HONDA E500 JN1 |
377Wh |
ASTRAL150 : 6時間14分 PB560 : 4時間43分 TrilogyO2 : 4時間58分 TrilogyEvo : 5時間07分 Vivo60 : 4時間42分 Vivo45LS : 5時間12分 |
|
iClever ポータブル電源 |
500Wh |
ASTRAL150 : 10時間41分 PB560 : 8時間1分 TrilogyO2 : 8時間15分 TrilogyEvo : 8時間25分 Vivo60 : 7時間38分 Vivo45LS : 8時間46分 |
|
JVC BN-RB6-C |
626Wh |
ASTRAL150 : 12時間4分 PB560 : 8時間55分 TrilogyO2 : 9時間27分 TrilogyEvo : 9時間16分 Vivo60 : 8時間34分 Vivo45LS : 9時間56分 |
|
MPS200PS-JP |
250Wh |
ASTRAL150 : 4時間36分 PB560 : 3時間9分 TrilogyO2 : 3時間32分 TrilogyEvo : 3時間18分 Vivo60 : 3時間8分 Vivo45LS : 3時間37分 |
|
Smart Tap PowerArQ2 |
500Wh |
ASTRAL150 : 10時間14分 PB560 : 7時間10分 TrilogyO2 : 7時間47分 TrilogyEvo : 7時間35分 Vivo60 : 6時間49分 Vivo45LS : 8時間9分 |
|
EcoFlow DELTA 2 |
1024Wh |
ASTRAL150 : 17時間45分 PB560 : 13時間16分 TrilogyO2 : – TrilogyEvo : 15時間54分 Vivo60 : – Vivo45LS : 14時間20分 ※都合によりVivo45LSはリークポート回路で測定 |
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EcoFlow DELTA 2 エクストラバッテリー |
1024Wh + 1024Wh |
予想稼働時間 ASTRAL150 : 38時間38分 PB560 : 28時間53分 TrilogyEvo : 34時間37分 Vivo45LS : 31時間12分 EcoFlow DELTA 2 |
まとめ
今回実験したポータブル電源は、商用交流と比較しても整った出力波形をしており、機器を故障させる原因になったり、動作不良を引き起こす可能性は低いと考えられます。
機種によっては充電時に電池の劣化防止などの目的で、充電元の波形を出力する物もあります。
ポータブル電源の充電元にインバーターが搭載されていない発電機等を使用する際は、機器への影響を注意する必要があります。
電源供給可能時間については、稼働時の消費電力を測定することで予測することができます。当サイト別ページで取り上げていますので、参考にしてください。
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